webサイト:https://www.marinemuseum.nl/nl/
住所:Hoofdgracht 3, 1781 AA Den Helder
休館日:冬期(11~4月)は月曜休館
学校休暇期間は毎日開館。詳しくは公式サイトを確認
ミュージアムカード:利用可
入場料:(オンライン購入割引あり)
3歳まで 無料
4~12歳 7.5ユーロ
13歳以上 12ユーロ
※近くにある救難艇博物館とのコンビチケットあり
訪問日:2022年8月
1.1991年まで使われていた、本物の潜水艦の中を探検!
2.様々な船やレーダーなど、実物を保存した施設を見学できる
3.海軍の歴史の他、船を造る・操作するに関わる体験型展示
人気の観光地、テッセル島に渡るフェリー乗り場がデンヘルダーの街にありますが、その近くにMARINE MUSEUMがあります。ここではオランダ海軍の歴史の他、船に関する様々な知識や、保存された貴重な船の中を見学することができます。
MARINE MUSEUMは「室内展示」と「屋外展示」に分かれていて、屋外展示には船もあるので、全部回ると思っていた以上のボリュームです!時間が限られている場合、おすすめはなかなか内部を見る機会のない潜水艦、そして2つある室内展示のうち、オランダ海軍の歴史について知りたい場合は「Het Torentje」、造船や船の仕組みを知りたい場合は「Geschutmakerij」の、どちらかを見るのがいいと思います。
室内展示(Het Torentje、Geschutmakerij)
チケット売り場のある3階建てのメイン建物「Het Torentje」にはオランダ海軍の歴史や、海軍が使っていた昔の道具や機材などが順を追って展示されています。特に第二次世界大戦中のオランダと日本の戦いについては、きちんと学ばないといけない歴史だと感じました。ここに日本の降伏文書のレプリカが展示されていました。オランダ代表として文書に署名をした、海軍中将コーランド・ヘルフリッヒ氏の夫人から寄贈されたものだそうです。
一方、メイン建物から少し離れたところにある2階建ての横長の建物「Geschutmakerij」には、港湾で働く人たちの紹介や、造船や操船に関する道具などが展示されています。
屋外展示
(潜水艦TONIJN、RAMSCHIP SCHORPIOEN、掃海艇ABRAHAM CRIJNSSEN、レーダー施設ロイター)
(1)ONDERZEEBOOT TONIJN(潜水艦マグロ)
メイン建物3階のチケット売り場、右側から入れます。狭い艦内のため人数制限があり、入口ゲートに数字が出ています。艦内に入ると、船尾から船首に向かって順に中を見て回ることができます。解説してくれるスタッフも船首側と船尾側にいるので、質問があれば聞いてみましょう。
艦内には、寝床や食事をする場所、船の操作や各種レーダーなどが所せましと並んでいます。子ども向けのクイズラリーの質問に「この船はduikbootではなく、onderzeebootです。何が違うのでしょうか?」というのがあったので、スタッフに聞いてみたのですが、onderzeebootは船が出発した後、浮上せずに目的地までずっと海中を進んで行く船だということでした。こんな狭い艦内で何日間も過ごすなんて、相当な精神力が必要だな・・・と思いました。
ちなみにこの潜水艦はTonijn(マグロ)という名前ですが、現役のオランダ海軍潜水艦は4隻あってWalrus(セイウチ)、Zeeleeuw(アシカ)、Dolfijn(イルカ)、Bruinvis(ネズミイルカ)という名前がついているそうですよ。
(2)RAMSCHIP SCHORPIOEN
メイン建物の裏手、駐車場の先に2艘の船が並んでいるクリーム色の方です。中にはカフェがあります。この船は1868年から1906年まで戦艦として機能したのち、海軍の宿泊船として使われました。特に1951年から1971年までは女性海兵隊専用の宿泊船だったそうです。この船は、帆船と蒸気船の2つの船の特徴を併せ持っています。
(3)MIJNENVEGER ABRAHAM CRIJNSSEN
2つ並ぶ船の灰色の方。こちらは第二次世界大戦中、ジャワ海での日本軍との戦いの後、オランダ海軍がインドネシアを脱出するのに使われた歴史的な船だそうです。船全体を迷彩色にカモフラージュして島影に紛れさせ、日本軍に見つからないように夜の間に移動しながら、オーストラリア方面へ脱出することができたというストーリーがあります。夏休みには、その話を子供向けにしたショーが船上で上演されていました。
(4)DE RUYTER
2つの船とGeschutmakerijのあいだにある、丸い特徴的な形の建物です。1976年から2001年まで使用されていたフリゲート艦の、ブリッジ部分のみが陸上に移され展示されています。実際に中に入って、巨大な丸い3Dレーダーや、操作席、レーダー監視室などを見ることができます。
海軍や戦史については、さらっと流し見る程度でしたが、それでも以前実際に使われていた様々な航海の道具の数々は、とても見ごたえのあるものでした。また第二次世界大戦のジャワ海戦の他にも、幕末(1864年)の下関戦争(長州藩とアメリカ・フランス・イギリス・オランダ軍との衝突)に関する資料もあり、オランダと日本の歴史を学べる一面もありました。
最初、海軍のミュージアムというと、もっと軍隊や戦争の色が濃いのかなとも思っていたのですが、潜水艦や昔の古い船を見てみよう!という子どもから、航海や造船の道具、レーダーやソナーなどの機器に興味がある人も、海軍の歴史に関心がある人も、それぞれの切り口で楽しめるミュージアムでした。MARINE MUSEUMの隣は現在もオランダ海軍の基地となっています。でも海軍だけではなく、テッセル島へ渡るフェリーはもちろん、近くを走るだけでも様々な船を見ることができて、船に乗って出かけたくなる街でした。